喫茶あいはら

喫茶店で友人と話すように、取り留めのない話をしています。

「人間臭さ」に惹かれる話

 

 

エンターテイメントや創作において、「人間くさい」作品に特に惹かれる傾向にある。

ただただ綺麗なお話や、漫画ならでは!!!という話も大好きだけれど、結局「しんどい…」「好きすぎてどうしたらいいの…」と頭を抱える作品は、だいたい人間臭い。

 

先日、Twitter上で純粋だねと言われたらどう思うか、という話が浮上していた。(わたしのスマホはいまだにTwitterがアップデートされていない。)そこからぼんやりと派生して、考える。

 

 

 

わたしは、きれいで純度100%な人などいないと思っているのかもしれない。誰しも、その人となりを全てさらったら(池の水を抜いてみた、みたいな感じで。)、何かしら、誰かに見られたくないものや、周りの人が、エッと思うような濁った何かが出てくるはずだと昔から思っている。

 

ただそれは、自分にとって誰かに見られたくないけれど、誰かにとっては素敵なものかもしれないし、誰かにとっては顔を顰めたくなるものかもしれない。

 

受け取り方と、それを持っている人次第であると言うこと。人によって水質が違う、というか。そういった部分の人間関係について、上手く描かれている作品が、好きなのだ。

 

だいたい、流行っていてもわたしがサラッと読んで覚えていない作品は、「そんないい人、いないよね。その人にも、どろっとした側面があるはずだろう」と思ってしまっていることが多い。人間臭さ、とはつまり、マンガや小説だったら、そのキャラクターの人間性がどこまで掘り下げられて描かれているか、そのキャラクターと他のキャラクターの関係から織りなす相互作用は?といったところなのかもしれない。

 

活字や漫画が好きで、どんなジャンルでも特別に抵抗はない。でも、今まで、BLにはそこまでギュッと胸を掴まれる機会が少なかった。それは、なんでここでいきなり両思い?!とか、急にラブシーン?!みたいなものと遭遇する機会が多かったから。いいなあという作品がなかったわけではないけれど、そもそも場数が少なすぎて遭遇チャンスが少なかった。

 

そんな中、先日出会った作品は、WEB上の立ち読みの時点で、途中で読むのを一旦やめてしまった。いい意味で。刺さる作品ほど、カロリーが高いので一度に一気に摂取できない。そこで、なんでこんなに刺さるんだろう、と再考した結果が、それだった。

 

わたしがこれまでに大好きになった少女漫画も、片思い→両思い→ハッピーエンドというものは少ない。その恋愛を通して、誰かがどう変わっていくのか、誰が見たくない感情を目の当たりにしてしまうのか。また、恋愛以外の何かに突き動かされる話や、恋愛も絡むけれど、他の人間関係に翻弄されている話が多いな、と思う。

 

もちろん王道の片思い→両思い→ハッピーエンド、な少女漫画や、人間性の書き込みが少ない作品を否定するつもりはない。先ほども言ったように、人間臭い作品は、読むのにめちゃくちゃ体力を使う。よって、疲れている時には読めない。ふわっとしたお話によって救われるところもあるのだ。

 

ただ、わたしのバックボーンはやはり、人間臭い、人が作ってるな、と思える、どろっとした部分まで書いてくれる作品を求めている。それは、漫画や小説だけではなく、歌詞についてもそれはいえるし、人柄についても、そういう人に惹かれる。

 

いま、AIが話題になることが増えているけれど、この人間臭い部分まで乗っ取ることはそうそう難しいのではないだろうか。矛盾していたり、自分でも意味不明な行動をしたり。機械にとってはバグとして認識されるような、そんな人間の持つ部分が、愛おしいような、興味深いような、ぞくぞくと興奮するような気がするのだ。

 

 

 

 

▶︎最後に

よく、「人間臭い作品最高だなああ!!!」と鑑賞しながら思うのだけれど、つい先日聞いていた、そんな曲を貼って終わりにします。

 

「中学の時の歌のテスト、

女子の前走る50m、

半端な自我の檻の中で

初めから

本気じゃなかったみたいな面で

感動を遮断してんのも

お前だろう?」